VNCを使うと、ネット経由で他のパソコンを遠隔操作することができます。この仕組みを利用して遠隔サポートを提供しているサポート業者さんも多いことと思いますが、設定がなかなか大変ではないですか?IPアドレスを調べる方法だとか、ポート転送の設定だとか。
基本的にVNCでは、接続先のパソコンのIPアドレスが分からないと接続のしようがありません。また、IPアドレスが分かったとしても、先方でルータを利用している場合はさらに宛先をポートで指定する面倒もあります。しかもルータの配下の複数のパソコンをサポート対象にしたい場合は、さらに面倒な設定が必要です。
こうした面倒をいっぺんに解決する方法があります。
それが「listenモード」です。
****逆に、呼んでもらうことで解決!
こちらがVNCクライアントで、操作される側がVNCサーバでという関係は変わりませんが、まず起動の順番とオプションが違います。普通はサーバを先に立ち上げるものですが、この場合は逆。クライアントのほう(サポートする側)を先に立ち上げます。しかも「listenモード」というオプション付きで立ち上げ、待機します。
スタートメニューをよく観察してみてください。VNCをインストールした時、スタートメニューに「Run Listening VNC Viewer」というショートカットが追加されているはずです。これを立ち上げると、「-listen」オプション付きでVNCクライアントが起動し、待機状態になります。
クライアントなのに「待機」というのも妙な話ですが、つまりこの方法は、操作を受ける側から呼び出してもらう方法です。困っている人の側から呼び出してもらいます。WindowsXPに標準で備わっているリモートアシスタンスと同じですね。
****相手のIPアドレスを調べる必要がない
自ら呼び出してもらうことで情報通知を兼ねるため、IPアドレスとポートの問題は一度に解決します。この方法を利用することで、受け側としては文字どおりの「設定ゼロ」接続が実現できます。そもそも、サポートを受けたい側に高度なネットワーク設定をさせるというのは本末転倒な話です。その代わり、こちらはDDNSサービスや固定IPサービスを契約するなどして定位置で待ち構えている必要はありますが、サポートを提供するくらいだからそれなりにネットワークを勉強してますよね?
さてサポートされる側はどう呼び出せばいいか。具体的な接続方法については、次回説明します。
念のため書いておきますけど、サポートを提供する側はやはりルータにポート転送の設定を施す必要がありますし、自分のグローバルIPも知っておく必要があります。あるいはDDNS。リッスンモードでは、こういう難しい設定を電話などで説明しながら相手にさせる必要がないのでラク。という話です。
>>> 次回「UltraVNC / Listen modeの設定」へ続く
接続先のIPアドレスを調べるのが面倒。接続先がルータを導入している場合、ポート転送の設定をしなくちゃいけないのが面倒。何よりも、VNCサーバを待ち受け状態にしておくことのセキュリティ面での不安。これらの問題を一挙に、しかも簡単に解決。listenモード。
多くのVNCユーザには知られていないだけで、実は古くから提供されている手法でした。